イラク復興支援支出、自衛隊イラク派遣に反対する決議


 10月16日、国連安保理事会は、イラク問題に関する1511号決議をあげました。
 この決議は、米英が占領を続けるためにアメリカ主導の多国籍軍をイラクに駐留することを国連が認めるというものです。しかし、仏ロ独が反対し、「アナン国連事務総長は、異例ともいえる積極的な姿勢で決議に注文を付け、米国から譲歩を引き出した」(毎日新聞17日付)ように、アメリカは、小幅ながらも四度にわたる異例の修正に応じざるを得ませんでした。
 フランス、ロシア、ドイツの三カ国は、一六日に共同声明を発表しました。「国連が参加してイラクを復興するという正しい方向への一歩として、われわれは団結の精神で支持する」としながらも、「軍事的な関与も、現在約束している以上のさらなる財政的貢献も行う状況は作られていない」と、お金も軍隊も出さないことを明言しています。
 小泉内閣は、昨日のブッシュ米大統領の訪日を前に、イラク復興支援として04年度に15億ドル(1650億円)の無償資金協力を行う方針を出しました。しかも07年度まで合計50億ドルの支援をするとしています。これはイギリスの三倍になっています。
 米英のイラク占領を国連に認めさせようとするアメリカと、イラク国民の手によるイラク再建を願う多くの国のせめぎ合いでした。政治的な「団結の精神」で、安保理事会が一致して1511号決議をあげました。しかし、具体的な行動については留保するというのが各国の態度です。盲目的にアメリカに追随するのが日本政府の姿です。
 日本の復興支援協力は、この国連決議の前に決められたもので、国連決議に基づいて支出されるものではありません。さらに、どのように使われるのかが明記されていません。
 日本政府は、衆議院の解散直前に「イラク特措法」を成立させました。これに基づいて、政府は、年内に先遣隊500人、年明けに約600人を派遣するとしています。イラクでは、五月のブッシュ大統領の「戦闘終結」宣言以降も、戦闘での死亡は100名を超えました。イラクでの戦闘は引き続き起こっています。
 自衛隊の派遣は、戦闘の行われていない地域としています。しかし、イラク全土のどこで「戦闘」が起こっても不思議ではありません。戦闘地域こそニーズがあり、非戦闘地域ではニーズがないのは容易に想像できることです。「派遣」後にどのような事態になるかは予想もつかないことです。イラクの国民は、けがや病気、インフラの破壊で苦しんでいます。自衛隊の派遣でない復興支援が求められています。
 また、衆議院が解散されているからという理由で、国会での審議も抜きに「基本方針」、派遣を強行することは、重ねて憲法に違反します。
 この事態を目の前にして、私たちは、憲法と自衛隊の海外派遣、国連の役割と各国の姿勢、イラクへの本当の復興支援などについて、生徒とともに学習を深めましょう。
 私たちは、
一、イラク復興支援資金協力、自衛隊のイラク派遣に反対します。
一、アメリカに追随することに反対します。
一、憲法の実質的な改悪に反対します。
 右決議します。
2003年10月18日 埼玉県高等学校教職員組合第6回分会代表者会議