自衛隊のイラク派兵反対、
      イラクの復興は国連中心で(決議)


 ブッシュ大統領は、19日ロンドンで演説し、テロリストが保有する大量破壊兵器と彼らを援助する独裁者が「現代の最大の脅威」とし、「偉大な民主主義諸国に大きな責任がかかっている」と強調し、「イラク人はサダム・フセイン体制の倒壊を喜んでいる」とイラク戦争を正当化しました。
 イラクでは、ブッシュ米大統領の「主な戦闘の終了宣言」(5月1日)以降も戦闘が続いています。7日警察署に迫撃砲6発が打ち込まれる(モスル)、7日ヘリが墜落し6名死亡(ティクリット)、8日爆弾で2名死亡(ファルジャ)、8日米軍車列が攻撃されトラック3台炎上(ファルジャ)、15日ヘリ2機砲撃で墜落(モスル)、20日米軍車列が爆弾で爆破され1名死亡(ラマディ)、21日石油省と二つのホテルがロケット弾攻撃(バグダッド)などなど、連日イラク占領軍が攻撃を受け、死傷者がでています。米英以外の軍も例外ではありません。8月にはデンマーク兵士が死亡、11月には、ポーランド兵士が犠牲に、エストニア兵士が負傷、イタリア軍警察本部が爆弾攻撃を受け18人が死亡しています。イタリア軍は給水システムの復旧など人道支援を行っていました。13日までに米兵死者数は、397人に達しました。これはベトナム戦争の最初の3年間(392人)を、たった8ヶ月で超えたことになります。12日から米軍は「 鉄のハンマー作戦」という空爆を含めた軍事攻撃を行っています。赤十字国際委員会は、極度に悪化するイラクの治安状況を理由にバグダッドとバスラの事務所を一時閉鎖しました。まさに、イラク全土が戦争状態で、安全な地域はありません。
 こうしたなかで、トルコは、イラクへの派兵を中止しました。インドとパキスタンは派兵を拒否し、韓国は増兵を渋っています。国連安保理決議1511の採択後、新たな派兵国はありません。イラク攻撃やそれに続く現在の事態は、アナン国連事務総長が「(アメリカの行為は)世界の平和・安定が依拠してきた原則に対する根本的挑戦である」と厳しく批判したように、世界の支持を失ったものです。
 さらに、20日には、ロンドンで「反戦デモ」が行われました。平日では最大のデモ、高校生の一団は「ブッシュ、ブレア、今日は何人の子どもを殺したの」とリズムをつけたシュプレヒコールを行っていた、ブッシュ大統領像の巨大な模型が引き倒される、と報道されています。米の世論調査では、55%が「イラクを巡る政策を支持しない」、4月の調査18%から3倍になっています。アメリカ・イギリス政府の行為は国民からも支持されていません。
 アメリカは、イラク統治評議会との間で、来年6月までにイラク人による暫定政権を樹立すると合意し、「完全な主権を行使する」としています。しかしその保証がありません。「米軍がイラク市民を保護するどころか、国外の勢力が進入してくる吸引力になって、逆に暴力を引き起こしている」(米軍を監視する団体の広報担当者)という事態になっています。イラクの復興は、イラク人自身の手による政権の樹立です。そのためには、国連が中心的役割を果たすことです。すべての外国軍隊は即刻、引き上げることが必要です。
 日本政府は、年内にも自衛隊を派遣するとしています。現地調査で何度もイラクを訪れている首相補佐官は「攻撃対象になることは論理的に免れない。他の国と同様に狙われる可能性が常にある」というように、イラク特措法の「自衛隊は非戦闘地域で活動する」は破綻しています。いま開かれている特別国会には、自衛隊派遣にかかわる基本計画の審議をしない方針です。国民の批判をおそれ国会審議を抜きにして、イラク派兵を強行するのが小泉政権です。
 トルコにあるイギリス関連の施設が大規模なテロ攻撃を受けました。テロ組織が東京を攻撃するというメッセージが送られてきたという報道があります。
 娘婿が自衛隊員である女性は、「うちの婿さんがイラク派兵に内定した。3人の子どもも小さいのに、無事に帰ってこれるか心配で心配で・・・」と話します。
 世界の「戦争反対」「平和を守れ」の声、イラク戦争の始まりが国際法違反でること、日本国憲法に違反すること、これらに目をつむって自衛隊をイラクに送ることは絶対に許されるものではありません。
 さらに、政府は有事法制に基づいた「国民保護法制」を準備しています。個人の基本的人権を制限する、違反者には刑事罰を科す、報道の自由を大きく制限するなどを含んだものです。許せるものではありません。
 わたしたちは、
一、イラクへの自衛隊派兵に反対します。
一、有事法制の具体化の国民保護法制、憲法改悪のための国民投票法に反対します。
一、世界の平和を作り上げる道筋、国連の努力などについて生徒とともに学習を進めます。
一、世界の平和を守るための草の根からの運動を広めます。
                                  
右決議します。
2003年11月22日 埼玉県高等学校教職員組合第303回拡大中央委員会