「イラクへの武力行使を直ちに中止せよ」
反戦・平和の行動を(声明)

2003.3.28 埼玉県高等学校教職員組合 中央執行委員会

アメリカが攻撃開始

 アメリカは、3月18日の最後通告の期限48時間の直前、3月20日午前11時30分(日本時間)にイラクへの武力攻撃を開始しました。バクダット郊外へステルス機の爆撃に加えて、ミサイルによる攻撃を行いました。さらに、クウェートから陸上軍を侵攻させバクダットにむけて攻撃をすすめています。途中の要所、要所で、イラクの共和国防衛隊は、米軍への反撃をし両軍に被害がでています。フセイン大統領は、戦う意思を表明し、国民の結束を訴えています。首都バクダットが地上戦の戦場になることが間近に迫っていると予想されます。

二重三重の国際法違反

 アメリカは、二重三重の国際法違反を繰り返しています。20日からの武力行使だけをとっても、イラクからの武力攻撃がないにもかかわらず、自衛権を行使することは、国際法違反です。大量破壊兵器をもっているとして、それによっての攻撃を想定しての自衛権行使は成立しません。国連憲章51条違反です。

目的はイラク政府の転覆

 アメリカはイラクへの武力行使を『イラクの自由』作戦と名付けました。イラク政府の転覆が第一の目的であることは明白です。国連憲章で民族の自決、内政不干渉を保障したことに重大な侵害をしています。
 今度の武力行使は、湾岸戦争を超える攻撃になることが予想されています。自衛のための戦争でも、それは、必要最小限でなければならないと規定されています。これにも違反しています。

国際的な支援を受けたと言うが

 さらに、日本政府は、アメリカの武力行使を支持しています。日本政府も、重大な国際法違反に手を貸していることはさらに重大です。しかも、復興支援を表明していますが、復興されたイラク政府は、アメリカの意を受けた反国民的なものです。
 アメリカは国際的な支持を受けたとしています。しかし、その数は、国連加盟国191カ国中40数カ国と少数です。

市民犠牲が拡大する

 日本での多くの報道は、米軍に従軍している記者のレポートです。勇ましい戦車による砲撃が報道の中心になっています。27日、バクダットの国営放送局、市場が砲撃を受けたとされました。給水車にバケツなどを持った市民の行列が報道されました。さらに多くの人々が犠牲になっていることが容易に予想されます。バクダットでの市街戦が実行されれば、住民の犠牲はうなぎのぼりに増えることは確実です。戦闘が長引けば、犠牲は急速に拡大します。

湾岸戦争の後遺症が悪化

 イラクでは、12年前の湾岸戦争で使われた劣化ウラン弾の放射能によって白血病の子どもたちが急速に増えています。この子どもたちに、経済封鎖のために、薬品の不足、医療・食糧事情の悪化などで追い打ちをかけています。「イラクには、100万人の栄養不良児がいる。この子どもは、戦争から生き残る力がない」(ベラミー・ユニセフ事務局長)と声明を発表しています。

高校生たちも戦争反対の声

 日本の高校生たちは、21日、渋谷の宮下公園で1200人を超える大集会を成功させました。集会実行委員会に参加している埼玉の高校生は、前日まで駅頭で高校生に集会への参加を訴え、メッセージを書いてもらう行動をしました。「おじい、おばあのような体験をイラクの子どもたちにさせたくない」(沖縄の高校生)と、空襲下のイラクに思いをはせ、「戦争反対」を訴えました。アメリカ大使館を経由して、日比谷公園までの6キロをピースウオークしました。
 対イラク戦争に軍を派遣しているオーストラリアでも高校生が数千人の集会を開いています。ドイツでは2万人の集会デモがもたれています。これらをはじめ、多くの国々で「戦争反対」と高校生が声を上げています。
 大人たちは、世界中で数万人のデモが連日連夜、繰り広げられ、開戦後も衰えていません。

反戦・平和の行動へ参加を

 『教え子を再び戦場に送らない』と決意した教師として、戦争に反対する声を大きくしなければなりません。埼高教からの案内を待たずして、多様な反戦・平和の行動に参加することを提起します。ファクッス、メール、ホームページへの書き込みなど「イラク攻撃を直ちに中止せよ」の声を日本政府、アメリカ大使館に集中します。

理性的に、平和教育を

 教育のなかでは、わたしたちは多量な情報を十分に吟味し、高校生たちに正確な情報を提起し、高校生の豊かな感性にしたがって感じ取らせ、理性的に、戦争を止めることを考えあうという教育を行おうではありませんか。そこには、なにより国連による平和への努力を見逃すことなく、国連への信頼を確かなものにするような努力を含まなければなりません。国際関係のなかで、日本の果たすべき役割、世界に誇る憲法をもつ国として、なすべき努力を考えあうことも重要です。国際社会の現実的外交政治に振り回されることなく、これからの国際社会に展望を失うことなく、平和な未来を築くことのできるものになることへ確信が持てるような努力を重ねようではありませんか。

抗議先

 小泉首相(首相官邸)
FAX 03−8581−3888
ブッシュ大統領(アメリカ大使館)
  FAX 03−3505−1862

イラク攻撃即時中止を求める4.2大行動

日時:4月2日18時30分
場所:明治公園(千駄ヶ谷駅下車)
行動の呼びかけ人
池辺晋一郎(作曲家)、江尻美保子(津田塾大名誉教授)、木津博充(日本山妙法寺僧侶)
神山征二郎(映画監督)、酒井広(元NHKアナウンサー)、茂山千之丞(狂言役者)
杉原泰雄(一橋大名誉教授)、津山忠(劇作家・演出家)、中山千夏(作家)
矢崎泰久(ジャーナリスト)